横国軽音の日常

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あなたの心に根差す歌詞 1曲目‐BUMP OF CHICKEN「R.I.P.」

こんにちは。

連載文を始めてみたいのでそれっぽいことやってみることにしました。

内容としては、よくあるやつですね。あなたが影響を受けた楽曲の歌詞を、あなたの考える良さとともに書いて公開するというやつです。こういうのはいろんな人が好きなように書くからこそ名文が生まれたりすると思うので、誰がどんな順番で何を書くのかは今後も放任で行くことにしたいと思います。今後書き手も軽音部内で増えていくといいなあと思っているので、まあ読み手の皆様は数々の素敵な歌詞との対面をお楽しみに。

さて、そんな連載の一回目に紹介させていただく歌詞はこちら。

 

「そこに君が居なかった事 そこに僕が居なかった事

こんな当然を思うだけで 今がこれ程愛しいんだよ 怖いんだよ」

「地球で一番幸せだと思ったあの日の僕に 君を見せたい」

BUMP OF CHICKENR.I.P.」(作詞:藤原基央)より引用

 

有名ロックバンド・BUMP OF CHICKENが2009年に発売したシングル曲より。

この曲、そもそも曲がすごくいいんですけど、やっぱり詞が凄くて。

曲の解釈なんてのは誰にでも異なった捉えようがあるのはもちろんですが、それでも無粋を承知であえてこの曲への解釈を述べるとするなら、この曲のテーマは「違う人生を歩むかもしれなかった自らへの追悼」だと思っています。人間誰しも、何らかの決断をする際には、迷った末に切り捨ててしまう選択肢が生じます。もしその世界を生きた自分がいたのなら、その自分は幸せだったかもしれないし、もっと苦しかったかもしれない。上に抜き出した部分のように、「そこに君が居なかった事」「そこに僕が居なかった事」は、「今の自分」が存在する以上は「当然」だけれども、もしそうじゃない生き方をしていた時、自分はもっと幸せだったかもしれないし、あるいは「今の自分」にしか知りえない刹那的な奇跡がそれ以上に多かったかもしれない。その真偽は誰にも分かりません。だからこそ、今を歯を食いしばってでも生きて、たくさんの輝きと出会い、今を信じるしかない。その事実があるから、「今がこれ程愛しい」し、「怖い」のです。

そのメッセージを詰め込むように、曲中最後の一節に置かれた言葉こそ、上の引用部の二文目に載せた「地球で一番幸せだと思ったあの日の僕に 君を見せたい」というフレーズなのです。誰かと出会う前から出会えていたら、今こんなに幸せなんだから、きっともっと幸せだったんだろうな、という期待の裏に、どこかそう言い切れない哀愁感や、切なさ、恐ろしさが込められているような、そんな気がする一節。

この歌詞を最初に見たとき、鳥肌がずっと止まりませんでした。時間が死んでいく、という表現を、美しく、切なく、どこか激しいサウンドとともに、こうも見事に一綴りの詩にまとめられていることに驚きを隠せませんでした。この曲にはとてつもない密度で、人間が日々生きる上で絶対的に抱える虚無感を具体化してまとめ上げています。僕らが日々生きる上で、一瞬一瞬何かを選びながら生きていくことに慎重であることは気高いことなのだと、そう励ましてもらえたように思っています。僕が元来面倒なことやどうでもいいことをいちいち悩みやすいタイプというのもあって、そういう自分を許してくれるものとして、僕の心の奥底にはいつもこの歌があります。

これだけ書いているのを見るとわかると思いますが、筆者はBUMPの大ファンで、その中でこの曲が一番好きです。引用部分に限らず、全編通して詞がいいし、間奏のギターソロめちゃくちゃかっこいいので皆さん聞いてみてください。

長々と失礼しました。

 

文責:朝重