横国軽音の日常

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番外編 vol.1 「カバー曲のすゝめ」

カバー曲。身も蓋もない言い方をすれば、他人の曲を勝手に歌うこと。その行為にミュージシャンたちは魅了され、古今東西、有名無名を問わず様々なミュージシャンがカバーをしてきました。音楽番組でもよくカバー曲が流れてきますよね。今日はカバー曲についての話。

 

カバー曲の良さってなんでしょうか。今回はあんまり長い文章にする気はないのでズバリ言ってしまうと、一番はカバーする側の音楽観がよくわかることだと思うんです。どの曲を選んでどんな風なメロディで歌いどんなシチュエーションで歌うか。CDに入っている曲ならどんな順番で入れるのか。そこに音楽観が詰まっているように感じます。

フジファブリックの楽曲、若者のすべて柴咲コウのカバーアルバムの一曲目に収録されています。僕はこのカバーから本家へのリスペクトと彼女の音楽に対する向き合い方が伝わってきたように感じました。この曲を聴くとわかるのですが、彼女はあまり感情を込めず、淡々と歌っているように聞こえます。これはフジファブリックの原曲でもそのように歌われているのですが、彼女がここにこの曲の魅力を感じていることが伺えます。一方、原曲のシンプルなアレンジとは対照的に、メロディは幻想的で、サビ前のギターフレーズは電子音で再現されています。このようなリスペクトとアレンジから彼女(とそのチーム)がどんな風に歌って、どんな魅力を伝えたいかということがわかります。淡々と歌詞を聴かせつつ、幻想的な世界を作り出す。カバーアルバムの名前は『こううたう』です。原曲を否定しているわけでも再現しすぎているわけでもなく、あくまでも「私ならこううたう」という姿勢を貫く。このアルバム名にカバーの真髄が詰まっているような気がしてなりません。

 

次に紹介したいのがマイケル・ジャクソンのbeat itという曲です。言わずと知れたキング・オブ・ポップのロックソング。この曲のカバーで僕が好きなのが、Fall Out Boyのカバーと藤井風のカバーです。同じ曲をカバーしてるとは思えない曲調の違い。まず、Fall Out Boyバージョンについて。原曲はエディ・ヴァン・ヘイレンをギタリストに起用しているのですが、カバーではジョン・メイヤーを起用しています。原曲と同じようにギターレジェンドを起用して、原曲のロック要素をかなり強化して彼らの良さを引き出しています。一方藤井風はピアノの弾き語り。彼の場合、収録されているアルバム自体がピアノ弾き語りでのカバーアルバムということもありますが、Fall Out Boyとは対照的に歌を聴かせる、リズミカルなサウンドでのカバーです。こんなに違うのに、やっぱり彼らはマイケルをリスペクトした上で自分らしさを出していると思うんです。僕ならこう演奏する。こううたう。こんな演奏をしたらより曲の良さを伝えられる。そのようなことから彼らの音楽観を感じられる良さがあると思います。このように様々なカバーがある場合、聴き比べるのも面白いです。

 

と、ここまで書いてきて言うのもなんですが、ここまで完全に僕の妄想です。ほんとはこんなこと、全く考えてないかもしれない。考えてたら嬉しいけどね。

 

突然ですが、アメトーーク!の「ザキヤマフジモンがパクりたい-1グランプリ」という企画を知っていますか?その名の通り、ザキヤマさんとフジモンさんがパクりたい芸人のネタをパクって披露する、ただそれだけの企画です。僕はパクられる側になんのメリットもないように思っていたのですが、パクられることによってその芸人の知名度も上がるということが言及されていて納得しました。フジモンさんがエドはるみさんのモノマネをしてはその宣材写真が画面に映り、ザキヤマさんが左腕を上げて気絶してはレギュラーの西川さんの宣材写真が画面に映るのです。

 

カバー曲も結局それと一緒かもしれない、と僕は思います。自分が歌うことで自分のファンにそのミュージシャンを布教できる。もしかしたら布教したいという普通のファンの発想とそう変わらないかもしれません。僕もSEKAI NO OWARIのカバーでHawaiian6を聴き始め、MAN WITH A MISSIONのカバーでNirvanaMr.Bigを知り、Creepy Nuts菅田将暉のカバーでTHE HIGH-LOWSの良さを再確認しました。カバーには絶大な布教効果があるのです。好きな曲を友達に布教したいときは一緒にカラオケに行って歌う方がいいのかも。

 

あるいは、ただ単に好きな曲を歌いたいというただそれだけのことかもしれません。好きなミュージシャンみたいになりたい。そんな風に歌いたい。僕もSEKAI NO OWARIFukaseに憧れて髪を赤に染めた経験もあるので、その気持ちは痛いほどわかります。好きな人を真似るとものすごくテンション上がりますよね。

 

結局はこの文章はすべて妄想です。彼らが本心で何を考えてカバーしたのかはわかりません。リスペクトからかもしれないし、好きだから、布教したいからかもしれない。あるいは単純にカバー曲は売れやすいとかバズりやすいとかかもしれない。でもそれを妄想するのも含めてカバー曲の良さのような気がします。

 

結局長文になりましたね。「今回はあまり長い文章にする気はない」って言ったの誰だろう。有言不実行が僕のモットーです。とにかく語りたいことはとりあえず語れたので、よかったら「○○の〜〜のカバーいいよ!!」って布教してください。カバーの良さを一緒に妄想しましょう。僕も全力で布教にお応えしますね。それではこの辺で、ごきげんよう

 

 

執筆:滝本

文責:発地